千原温泉 千原湯谷湯治場

基本データ
URL 千原温泉
住所 島根県邑智郡美郷町千原1070
電話番号 0855-76-0334
営業時間 8:00〜18:00
定休日 無休
入浴料 大人500円  子供300円
泉質 含二酸化炭素−ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉
温泉分析書等 (湯治場源泉) 成分総計 11.54g/kg (H14.7.20分析)
(持ち帰り源泉) 成分総計 10.04g/kg (H14.11.19分析)
訪問日 2005.4.29

今回の島根の温泉めぐりの中で最も楽しみにしていたのが、ここ千原温泉。しかし先々代・先代の女将さんの時代には、ここは療養の湯治客専用で「観光目的だけや健康な方の入湯はお断り」。広告媒体にものらず、長らく一般客には門戸を閉ざしてきた隠し秘湯という話だったので、私のような立ち寄り客が いきなり訪ねていっても受け入れてもらえるのか戦々恐々としながらの訪問だった。

たどり着くのが難しい相当の“秘湯”と思いきや、道路には「千原温泉」の案内の看板も出ている。厳しい湯治場の雰囲気を想像していたら、あに図らんや、優しく気さくなお嬢さん(といっても、もうオバサンの域に達する年齢だが)に出迎えられた。

湯上がり、お嬢さんと暫しお喋り。私たちが訪ねる前、入浴客がやや多かったそうで「ちょうど上がられて少なくなったときで、よかったです。」7〜8人も入れば いっぱいになってしまう狭い浴槽だから、あまり混雑していても、わざわざ来られた方に恐縮で、とおっしゃる。昔は湯治客しか受け入れられなかったそうだから、入れるのか心配でした、と言うと「あぁ、インターネットでご覧になったんでしょう。」と笑われる。「母が元気だった頃の話なんですよ。ご病気の方への配慮から、そうだったと思うんですけどね。」今は宿泊客はとっておらず、「お客さんのような日帰りのお客さんが頼みなんですよ。」日帰り専用だとは、恥ずかしながら私は知らなかった。

広島からのお客さんが最も多いらしい。この辺は、冬場の積雪は多くて40cmほど。一応除雪もするそうだが、圧雪があるから、雪道の運転に慣れない者は やはり近寄れず、1月・2月は客が少ないという。ゴールデンウィークの連休頃から常連さんも戻ってこられ、その方たちの顔を見ると「忘れられてなかったと、安心します。」

私が入浴したときには、20代、30代のお客ばかりだった。今はお若い客も随分多いようだが、茶色の濁り湯に対して文句を言う方はいないのか、と尋ねてみたら「こないだ一人いらっしゃいましたが、ほとんど言われることは無いです。」確かに、わざわざ調べてこんな山の中まで訪ねていくのは、皆、温泉好きなんだろう。温泉好きの人が三瓶周辺の温泉を回るときは「小屋原や池田ラジウム、三瓶の薬師湯などとあわせて、うちもコースに組み込んでもらえることが多いようで、嬉しいことです。」と、驕りや気負いも無い。

お湯のみならず、女将さんのお人柄にも癒される思いだった。

今の千原温泉は公式ホームページも持っており、伝統を守りつつも、時代にマッチした湯治場になっている。しかし、いかに門戸が広くなったといっても、ここが療養泉であることには変わりない。ストレス社会の現代、一見健康体でも、こころの不調をかかえる人も多い。私も含め、現代の半病人どもが療養する場としても打ってつけではないだろうか、なんてことを考えながら、千原温泉を後にした。またいつの日か、再訪したい。



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千原温泉 全景 すぐ前を
千原川のせせらぎが流れる
豊かな自然に囲まれた
静かな谷にある湯治場
よく手入れされたチューリップや鉢植えの花々に迎えられた
千原湯谷湯治場
“ちはらゆんだにとうじば”
千原温泉についての説明の掲示 受付は、こちらで
こちらが温泉入り口 玄関を入ったところ 玄関から奥を見たところ
玄関から左奥に進めば、浴室
「湯治場」入り口
待合所 朝夕は冷えるのだろう
まだコタツが出されていた
茶釜の設えられた床の間には
シャクナゲが活けてあった
「湯治場」暖簾をくぐったところ
調度品が趣味良く配されている
2階は有料の休憩所
個室休憩5時間以内 一人1200円
風雪に耐えた風格を感じる古い建屋なれど、内部はお嬢さんの趣味だろうか、若い女性好みのしそうなアンティーク調に しつらえられており、古臭さは微塵も感じない。
古い湯治場の雰囲気と新しい感性とが、渾然一体と融合している印象を受けた。
情緒たっぷりの浴舎の前には、薪が並べられていた
上がり湯の五右衛門風呂は、薪で沸かされているのだ
女湯の脱衣スペースから
網戸ごしに見た煙突


男 湯


浴室の外にある脱衣場には
カーテンがしてある
脱衣場 脱衣場横の暖簾をくぐり
浴室に入る
脱衣場から浴室へは
半地下へおりるような格好
浴槽の底は板張りになっていて、板の間から、プクプク、ブツブツと炭酸の泡と共に温泉が足元湧出してくる。泡に体がくすぐられる感覚は、何とも気持ちよく、幸福感に包まれる。高張性のお湯は、飲むと炭酸もしっかり効いており、舌を刺激される。黄褐色の濁り湯は、透明度15cmほど。

34.5℃と ほぼ体温に近いぬる湯なので、のぼせることもなく長時間つかっていられる。あまりの心地よさに、思わず居眠りしたくなる。ずっとぬるいお湯につかっていると、皮膚の表面が、カッカと熱を持つような感覚を覚えて、驚いた。

先の行程もあることとて、「そろそろ上がろうかぁ」と反対側の風呂場から声がするも、「あと5分」。…それから、ゆうに15分は経過してた。静かに泡に揺られながら30分以上お湯につかっていただろうか、それでも到底足りない。願わくば2〜3時間、ゆっくりしてみたい。
浴槽 壁には、色々と注意書きなど 見事な黄褐色の濁り湯 天井が高く、風格がある
湯船の奥の飲泉用の枡から、ゴボッ、ゴボッ、足元からブツブツ、コポコポ、そして、すぐ横を流れる川のせせらぎの音。耳に入るのは、それだけである。静かである。どこまでも静かである。

上がり湯を沸かす薪の煙の匂いにも、郷愁を誘われる。

お湯よし、環境よし、の素晴らしい湯治場である。
カーテンで囲われた中に
上がり湯の五右衛門風呂
五右衛門風呂の上がり湯
薪で源泉を沸かしてある


女 湯


女湯は、奥になる 扉を入ると、階段横の
幅1m程のスペースが脱衣場
脱衣場に張られた注意書き 脱衣スペースから
浴室内を見下ろす
階段で半地下の浴室におりる 浴室
療養専門のため、洗い場は無い
浴槽 底の木の板の間から
温泉がプツプツと足元湧出
上がり湯は、男女共用で1つだけ。

女湯からは「上がり湯、誰か入ってますかー?」と声をかけ、誰もいないことを確認してカーテンをくぐって入りに行く。
奥には、飲泉コップが
用意されている
浴槽内から脱衣場方向を見る
煙突が突き抜けている
女湯からは、このカーテンをくぐり
男湯エリアにある上がり湯へ

沸かした上がり湯であたたまって上がる人も多かったが、ぬるい温泉に入り慣れていれば、もうこの時期、別に上がり湯に入る必要もなかった。 




持ち帰り用源泉


「ここに源泉があるんですか?」と尋ねると、おばあさんは何も おっしゃらずにコクンと頷かれた。お湯も自然も昔と変わらないのだろうが、時代が流れ、若い客が次々とカメラ片手にやってくる現代の千原温泉。おばあさんは、その様子を どんな思いで眺めておられるのだろうか…。


建屋の少し上に
持ち帰り専用の源泉がある
川のすぐそばに おりる 先代の女将さんだろうか
静かに夕涼みしておられた
源泉汲み場
100円/リットル(容器別売)



温泉めぐりモノグサ写真日記@九州  島根県  2005年04月一覧


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