一の俣温泉  大衆浴場 ・ 一の俣第3号泉

基本データ
URL
住所 山口県下関市豊田町大字一ノ俣557
電話番号 0837-68-0020
営業時間 9月から4月 10:00〜19:00  5月から8月 10:00〜20:00
定休日
入浴料 大人500円、小人(小学生以下)300円
ただし、1時間以内 大人300円、小人200円
泉質 アルカリ性単純硫黄温泉
温泉分析書等 源泉名:一の俣第3号泉
泉温:源泉29.1℃ 性状:無色澄明、微硫化水素臭
pH9.93 ラドン:5.6×10-10Ci/kg 成分総計:0.236g/kg
(温泉の分析年月日:平成8年2月27日)
訪問日 2007.9.19

平日昼間に訪ねたこの日、他にお客さんの姿も無く、応対してくださった優しい女将さんと、のんびりお喋り。「この建物は、建って何年ぐらいになるんですか?」と前々から気になっていたことを尋ねてみたら、40年を超すぐらいですかねぇ、とのお返事。ちなみに、まっぷるマガジンの中国&四国温泉ガイドブックには、開業は昭和中期と大雑把に記載されている。

「一の俣温泉の中では、ここが一番古いんだそうですよ。」と言われたので、「では、ここが元湯になるんですか?」と聞いてみたら、「いえ、うちが源泉を持っていて、うちから他所にお湯を配っているわけではないですから、元湯ではないんです。」泉源は、この大衆浴場から30mほど離れた位置にあり、そこから、一の俣温泉のすべての施設にお湯が行くのだと教えてもらった。つまり、一の俣温泉の中で、最も泉源に近い入浴施設は、実は、この大衆浴場ということになる。

ところどころタイルが剥落した浴槽、亀裂が入った洗い場、天井の錆びくれた鉄骨…この大衆浴場のボロさ、いや、歴史を物語るレトロさ加減に関しては、“ゲロ渋”“ボロ美”等の言葉で表現されるマニアの最高の賛辞から、扱き下ろしまで、インターネット上でも様々な感想が散見される。確かに、事前にまったく情報を持たず訪問すると、いささか面食らうかもしれない。その上、完全に溜め湯状態で、お湯の入れ換わりが無いから、潔癖症な人は決して行かない方がよい。

しかし、清掃は隅々まで丹念に行き届き、不潔感は皆無。大切に使われていることがわかり、不快感は感じない。入浴者が上がって浴室が無人になると、女将さんは、その都度 浴室の様子を点検されるようだ。むしろ、こういう古めかしい空間が、平成の時代に残されていることが嬉しい。それに、循環や加水が一切されていないお湯は、ヌルヌル、トロトロの極上。

溜め湯方式にしている理由についても、女将さんが説明してくれた。「出しっ放しでは、もちろんお湯がもったいないのですが、うちのようにお客さんが少ないところでは、こうしないと、この値段では やっていけないのです。」一の俣温泉のよその立ち寄り湯は、最低でも500円。1,000円以上するところもある。そういう温泉地にあって、一時間以内300円という入浴料は、確かに破格の安さである。無駄な設備投資は極力控え、現存するものを大事に使って、お湯を安価に提供してくれる姿勢は、もしかしたら、お客さんのことを真剣に考えてくれている証なのかもしれない。

昭和の時代に戻ってしまう大衆浴場は、穏やかな時間が緩やかに流れる静かな世界。この“ボロ美”に益々磨き(?)をかけながら、朽ち果てて崩落してしまうまで、まだまだ現役で営業を続けてもらいたいと願ってやまない公衆浴場のひとつである。



写真をクリックすると拡大表示、矢印キーでスライドします。


国道491号線に面しており
大変わかりやすい
外観 写真左は休憩室
バス停「大衆浴場前」ど真ん前
国道北側から
裏側から見たところ
タンクとボイラー室
正面から 敷地奥には、別棟で休憩室 玄関は左右2つ
向かって左が女湯側、右が男湯側
女湯側の玄関
男湯側の下足箱
レトロだ…
女湯側の下足箱
廊下を進むと支払い所と休憩室
廊下の掲示 建物外壁にて

女将さんのお話によると、現在、ここに通ってくる入浴客の多くは、体に悪いところがある人たちだとか。もちろん温泉マニアの訪問も多いらしい。



男 湯


入り口付近 脱衣場 彼岸花が活けてあった 浴室の方を見る
浴室の様子 天井も写る
このアングルが、定番!?
剥離した浴槽のタイル、亀裂の入った洗い場
賛辞から扱き下ろしまで、人それぞれ様々な感想が述べられる浴室だ
湯口付近から
湯は、いつも浴槽の半分程度

浴槽の蛇口は、熱い方は加温された源泉で、冷たい方は源泉そのものとのこと。セルフで好きなように追加して、湯加減を調整できる。上がり湯には、冷たい源泉を洗面器に汲んで浴びれば、泉源に一番近い場所で浴びることになるわけだ!?



女 湯


入り口付近 脱衣場 脱衣棚も味わい深い 写真右の番台は
今は使われていない
浴室の方を見る 温泉分析表の掲示もバッチリ 入り口付近から見た浴室 こちらも洗い場には亀裂
浴室奥から 浴槽は、女湯も
タイルが剥げ落ちた箇所あり
お湯は浴槽の半分程度
完全に溜め湯状態
湯口付近から
加温源泉とそのままの源泉を
セルフで好きなように追加できる
洗い場のカラン 天井の錆びくれた鉄骨も、歴史を物語っている

加温されていないそのままの源泉の方は、わずかに硫化水素臭。口に含むと、甘みがある。
浴槽のお湯はヌルヌルが強く、つかっていると幸せな気分。肌がお湯を弾き、肌の透明感が増す感じ。このお湯に入るんだったら、乳液やクリームは不要ではなかろうか。

帰り際、廊下のところにあるお手洗いを拝借。昔懐かしい汲み取り式便所だが、綺麗に掃除され、お花も活けてあった。用を足して扉を閉めようとするも、ちょいとコツがいるようで、少々手間取ってしまう。その様子をご覧になっていた女将さんが「どこもここも古いもので…。」と恐縮されるから、「いえ、こういう古い建物は、田舎に帰ってきたような懐かしい気分になります。」と申し上げたら、女将さんの顔が、ニッコリほころびた。

「一の俣温泉に来たら、またここに入りに来ます。」わざわざ玄関まで見送ってくださった女将さんにそう挨拶し、心も体も ほっこりあたたかく、大衆浴場を後にした。また、優しい女将さんに会いに行きたいと思う。




一の俣第3号泉


湯上がりに、大衆浴場の女将さんに教えてもらった泉源を見学した。


南側から 一の俣第3号泉 北側から ここで湧く源泉が一の俣温泉の
すべての施設に供給されている

『九州の本物温泉(3)』(株式会社 九州人、2003年11月)の本によれば、一の俣温泉の源泉は「一の俣第3号泉」1本のみ。つまり、現在、この3号泉だけで、一の俣温泉すべてを まかなっているそうだ。一旦タンクに貯められ、それから各施設に配湯されているらしい。




温泉めぐりモノグサ写真日記@九州  山口県  2007年09月一覧


Copyright(C)since2004 MOGUSA All Rights Reserved