基本データ | |
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URL | 出水市ホームページ より 折尾野温泉(共同浴場) |
住所 | 鹿児島県出水市武本5840番地 |
電話番号 | 0996-62-3209 |
営業時間 | 4月〜9月(夏時間) 12:00〜20:00 10月〜3月(冬時間) 12:00〜19:30 |
定休日 | 水曜日 |
入浴料 | 大人300円、小人150円(1回の入浴は1時間以内) |
泉質 | ナトリウム炭酸水素塩泉(低張性,中性,冷鉱泉) |
温泉分析書等 | 源泉名:出水−3号 源泉所在地:出水市武本5840-2 使用施設名及び所在地:折尾野共同浴場 出水市武本5810番地 泉温:源泉16.7℃ 性状:ゆう出地(無色透明・弱塩味・微硫化水素臭)、pH7.2 ラドン含有量:2.36(百億分の一キュリー単位) 成分総計:595.0mg/kg(←1908.7mg/kgの間違いか?) (温泉の分析年月日 平成9年4月18日) |
備考 | 備品類、無し |
訪問日 | 2009.1.8. |
200年以上の歴史がある折尾野温泉は、切り傷や皮膚病等に効く名湯として知られるそうだ。
世間一般的には、マイナーな温泉だろう。しかし、郡司勇・著『新版
一湯入魂温泉』(山と溪谷社)にも登場するこの温泉、いわゆる“温泉マニア”の間では、かなり有名な“秘湯”である。
2006年8月28日、その折尾野温泉が火災で全焼したというニュースが飛び込んできて、全国の共同湯ファンが驚愕した。ここは、16℃の冷鉱泉を、今どき珍しく薪で沸かしているのだが、出火の原因は、その煙突の加熱だったとか。
実は私は、焼失前の昔の木造浴舎時代の折尾野温泉を訪ねる機会が無かった。そうしたところ全焼のニュース。多分そのまま廃止され、もう入湯は叶わないだろうと半ば諦めていた。
しかし、200年以上の伝統を守り、再開してほしいと寄せられた要望や励ましの声に応える形で再建が決まったそうで、同年11月中旬に工事着工、2007年1月3日再オープンという嬉しいニュースが届いた。不死鳥のごとく、火の中から見事に復活を遂げたのだ。ちなみに、火事のほんの1か月前、2006年7月23日には、鹿児島県北部を襲った豪雨により、床上浸水の被害を受けている。度重なる不幸に負けず、たくましく蘇った折尾野温泉。ここの湯につかると、「私も、負けちゃいけんな」、なんだか、そんな精神的パワーを分けてもらえるような気がするのだ。
(参考)
・2006年12月7日 南日本新聞 出水・折尾野共同浴場 復活へ住民立ち上がる 県北豪雨で浸水、1カ月後に全焼
・2006年12月22日 西日本新聞 7月豪雨8月火災で全焼 出水折尾野温泉 今月末にも復活 常連客の熱望に応え
・2007年1月15日 MBC南日本放送ニュース 出水市の折尾野温泉復活
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「今は7戸なので、ほぼ一週間に一度、当番が回ってくるんです。」週に一度とは、なかなか大変な仕事である。
また、以前の浴室は、横を流れる川の上に迫り出して建てられていたが、現在は建築法に引っ掛かるため、再建時にはそう出来ず、以前に比べると、浴室が少々狭くなったという。「湯船は、変わらないんですけどね。」というお話だった。
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脱衣場 | 浴槽は、こぢんまり 一度に入れるのは3人、ギリギリ無理しても4人 |
男女の仕切り壁の方を見る | |
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同行者によると、男湯のお湯の温度は、とにかく熱かった由。「46〜47℃あったんじゃないかね?」うぎゃー。 後から休憩室でお爺ちゃんに話を聞いていたら、昔からここの温泉は熱いことで有名で、熱くないと効かない、と言う人もあるんだそうだ。 |
冷鉱泉の源泉 |
男湯は来訪者が5、6人になったそうだが、如何せん浴槽が狭いもので一度に入れず、交替しながらの入浴だったらしい。
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湯上がりに、休憩室にお邪魔してみた。 囲炉裏のある空間で生活したことがない私、赤々と燃える囲炉裏が珍しく、それに あたってみたかったのだ。 |
別棟の休憩室 | 囲炉裏が切ってある | お茶と黒砂糖を御馳走になった |
浴舎とは別棟になっている休憩室は、火災は免れたそうだが、2006年7月の豪雨のとき、横の川が増水して床上浸水、畳が全部ダメになってしまったそうだ。それで、その後、フローリングに張り替えられたとのこと。
当番のオバチャンは、わざわざお茶を出してくれた。囲炉裏端におられたお爺ちゃんともお喋り。「ツルツルして、良か湯ですね。肌がスベスベになりました。」と言うと、お爺ちゃん、家に帰っても、手足のツルツルが長時間持続すると話してくれた。
私が訪問したとき、温泉に来る皆さん、全員、近所の知り合いばかりのようで、温泉に入る前に、また湯上がりに、世間話に花を咲かせておられた。客を迎える営利目的の温泉というより、地区の人たちが、我が風呂代わりに通ってくる地域に密着した場であることを、強く実感した。お話を伺っていると、運営戸数の減少、高齢化、若者は入りに来ないなど厳しい現実は色々あるようだが、2世紀にわたり大事に守られてきた折尾野温泉の歴史が、これからも末長く続いてゆくことを願ってやまない。
「こちらの方に来たら、また、いらっしゃい。」という言葉で見送ってもらった。なんだか、田舎に里帰りしたときのような ほのぼのした気持ちで、折尾野温泉を後にした。
温泉めぐりモノグサ写真日記@九州 鹿児島県 2009年01月一覧