カトリック出津教会 (県指定文化財)

基本データ
URL 長崎県東京事務所 > ながさきの教会 > 出津教会
長崎県「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」 より 出津教会
長崎県の文化財 より 出津教会(PDF)
■あっ!とながさき より 出津文化村:出津教会
■ながさき巡礼 長崎の教会を訪ねて より 出津教会
住所 長崎県長崎市西出津町2633
電話番号 0959-25-0012
見学時間 6:00〜17:00 (ミサ等実施時は入場制限あり)
定休日 無休
見学料 無料
備考 教会内も一般公開されているが、見学の際は十分に配慮すること
訪問日 2009.2.6

「出津」の読みは「しつ」、難読地名だ。高台に建つ道の駅「夕陽が丘そとめ」の辺りから出津文化村の方を見下ろすと、前後に2つの塔屋を持つ白亜の教会堂が、遠くからも、よく目に入る。

出津教会は、ド・ロ神父(1840〜1914)の設計・施工により建てられた教会堂。屋根が低く堅牢な造りになっているのは、角力灘からの海風に耐えるためという。内部もシンプルで、質実。

ド・ロ神父は、明治12年(1879)に外海村の出津・黒崎地区の主任司祭として赴任している。まずは、その活動拠点となる教会堂の建設準備にかかり、明治14年に私財を投げうって煉瓦造の教会堂の建設に着手、翌明治15年(1882)に、めでたく献堂式を迎えた。その後、明治24年(1891)と明治42年(1909)に増築されて、現在の教会堂の姿となっている。しかし、2度の増築工事は、設計者であるド・ロ神父在任中に行われたものであり、それ以後はほとんど改変されておらず、明治初期の教会堂建築の遺構として貴重であるところから、昭和47年(1972)、出津教会は長崎県の有形文化財に指定されている。

また、出津教会は、さだまさし原作の映画『解夏(げげ)』(東宝・2004年公開)の撮影が行われたことでも、有名になったそうだ。大沢たかおと石田ゆり子の2人が、角力灘の向こうに見える五島を眺めるために訪れた場所だったそうな。



写真をクリックすると拡大表示、矢印キーでスライドします。


西側の道から見る全景 正面から ちょうど日本水仙の花が満開

県指定文化財 出津教会 昭和47年2月4日 指定  (現地パネルより転載)

出津教会は、明治12年に外海地区の司祭として赴任した、フランス人のマルコ・マリ・ド・ロ新譜により設計・施工された教会です。

明治14年、建築に着工され、翌15年完成しました。この時の教会は、レンガ造りの壁面で、内部は漆喰塗り、木造桟瓦葺き寄棟造り、内部は三廊式平天井でした。

明治24年、増築、祭壇部に塔を建て、屋根は祭壇部が切妻造り、玄関部は寄棟造りとなります。

明治42年、玄関部を拡張し、鐘塔を建ました。玄関部は、鉄骨造りで、周囲をレンガで囲み、白漆喰に仕上げています。外部は、モルタル塗装、屋根は切妻になりました。内部は、6本づつの柱列が2列に並び、身廊部と左右の側廊とに分けて三廊式になっています。天井は、台風の被害を少なくするために平天井としています。

教会の規模
全長37m、幅11m、軒高3.5m、塔の高さ5.8m、祭壇部の塔の高さ5.5m

この教会は、明治初期の建造物であり、建造から2回の増築までド・ロ神父の設計施工によるところに大きな意義があり、各所にド・ロ神父独特の手法が見られます。ド・ロ神父の偉業の一つであることなど文化財としての価値が高い教会です。

外海町教育委員会
県指定文化財 出津教会
入り口の説明パネル
素朴な信仰のふるさとをたずねて
教会堂内に置いてあったスタンプ 現教会堂は、全長約37m、会堂幅約11mと、大変奥行きの深い建物である。
外壁は煉瓦造りだが、壁体の煉瓦は創建時からすべてモルタルに覆われ、煉瓦面の露出は見られない。

屋根は単層屋根構成で瓦葺き、主廊部小屋組は純粋な和小屋組で、また、側廊部小屋組には一部斜材を使用するほか、小屋組の補強金物の使用など、建築技術にも精通していたド・ロ神父の工夫が各所にみられるそうだ。
全景 南西から 正面
石造りの玄関部分と、その上の大きな方形の鐘塔は、明治42年(1909)に増築されたもの。鐘塔の内側には、鉄骨が組まれている。

鐘塔の中にはアンジェラスの鐘が吊るされていたが、その鐘は、戦時中に供出されたそうだ。
玄関部の塔上には、ド・ロ神父がフランスから取り寄せたマリア像が置かれている
正面玄関 入口の引き戸
南側面 南側面の出入口
左右の側面に、「男の横門」「女の横門」と称する出入口を2個ずつ備えている。これは会堂内左右に男女が分かれて座することに対応しているそうだ。

窓は上部半円形縦長窓で、透明ガラス窓の外側には鎧戸が付され、鎧戸は壁の開口部上下に横木を渡して、左右いずれの方向にも引けるようになっている。
南側面
窓は、上部半円形縦長窓
水色の鎧戸は
左右どちらにも引ける
北側面の出入口と窓 北側面 北側面 玄関部の鐘塔の方を見る
北側面と正面 祭壇裏の背面
小塔の頂部には十字架
ルルドの聖母マリア
信者数の増加に伴い、明治24年(1891)、現在の祭壇方向に約1.5倍の長さに拡張され、その棟上に、頂部に十字架をいただく小塔が建てられた。
裏に、ド・ロ神父の胸像 左の胸像がマルコ・ド・ロー神父 ちょうど白い月が出ていた
写真右上、わかるかな?


会堂内部の様子


内部は木造で、天井は白漆喰仕上げ。
主廊幅は15.7尺、側廊幅は9.7尺、列柱間隔約12.6尺。

内部列柱は木製円柱で、台座・柱頭を持たない。
柱の頂部は露出した貫で連結され、貫から天井に至る主廊部壁面は柱聞毎に区切られた漆喰壁仕上げ。

主廊部の天井は、わずかに上方に反った曲面を持つ弓状天井。側廊部は平天井となっている。ここは海岸に面し、風の強い立地条件。形態よりも実用性を重んじたド・ロ神父が、自然条件の厳しさを意識し、このような弓状あるいは平天井を用いることによって、防風のために棟高を低く押さえたのだそうだ。

しかし、わずかな反りを持つ天井と各部プロポーションとの関係が、奥行きの深い会堂の入ロに立つ人の視線を、祭壇に集中させる効果を生み出しているという。
会堂平面は奥行きのある三廊
6本ずつの柱列が2列に並ぶ
会堂床は縦板張り
振り返って、正面入口の方を見る
内陣部は、斜材を用いた
床仕上げがなされている
脇祭壇 主祭壇 脇祭壇 祭壇部は主祭壇、脇祭壇ともに
半円形の平面をなしている
側面出入口を見る 上部半円形縦長窓

※レポート作成にあたり、長崎県東京事務所「ながさきの教会」出津教会を資料にさせていただいた。




出津文化村


温泉めぐりモノグサ写真日記@九州  長崎県  2009年02月一覧


Copyright(C)since2004 MOGUSA All Rights Reserved