本耶馬溪温泉 温泉公衆浴場 中島温泉

基本データ
URL 中島ボーリング工事所 > 中島温泉 営業案内
住所 大分県中津市本耶馬溪町西谷4620-2
電話番号 0979-53-2688
電話受付は毎週日曜日12:00〜18:00のみ
営業時間 毎週日曜日のみ営業、13:00〜18:00
定休日 月曜日〜土曜日
入浴料 大人(12才以上)400円、中人(6才以上12才未満)200円、
小人(6才未満)100円
泉質 ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
旧称:含食塩−重曹泉
温泉分析書等 源泉名:本耶馬渓温泉 中島邦男
湧出地:下毛郡本耶馬渓町西谷区古御堂4620番地の2
湧出地における調査及び試験年月日:S61.7.4
泉温:49.6℃、湧出量:46L/min(自噴 掘削700m)
知覚試験:無色、澄明、無味、微硫化水素臭、pH値:7.9
ラドン(Rn):測定せず、成分総計:1.631g/kg(S61.8.21)
備考 固形石鹸、ドライヤー有
訪問日 2009.1.10

「秘湯」である。一般的な温泉ガイド本には紹介されていない「知る人ぞ知る」温泉という意味でも、そう言えると思うが、ただ、中島温泉に辿りつくのは、別に難しくない。しかし、何しろ営業が日曜日のみ。時間も、昔は朝8時から夜7時まで一日開いていたが、次第に短縮され、現在では、午後1時から6時までの、僅か5時間。遠方の者が入浴するには、かなりハードルの高い温泉なのだ。ちなみに、週一回、日曜日だけという営業スタイルは、開業以来続いているもの。

建物の外壁に掛けられた「中島ボーリング工事所」の看板からもわかるように、本業は、ボーリング屋さん。「中島さん」の温泉だから、「中島温泉」。無論、ここで使われている源泉と地下水の井戸も、ご自分たちでボーリングされたもの。

温泉を知り尽くす本職が営む温泉となれば、お湯使いの素晴らしさは、天下一品。49.6℃の源泉は、冬場は、そのまま浴槽に注がれ、夏場は、熱交換器を通して温度を下げ、一切の加温加水なく、適温に保たれている完全掛け流し。男湯の欄の写真で、夏場と冬場で湯口の位置が逆になっているのを、ご覧あれ。なお、洗い場のカランに使われているお湯も温泉なのだが、こちらだけは、熱めに加温しているそうだ。



写真をクリックすると拡大表示、矢印キーでスライドします。


県道667号線を走っていると、大きく「中島温泉」と書かれた看板が目に飛び込んでくるので、迷うことはない。

温泉が開く約10分前になると一斉に車が集まってきて、10台ほどが路肩に並ぶ。週に一度の温泉を待ち侘びる常連さんを中心に、あっという間に20人ほどのお客さんたちの賑やかな声に包まれる。ふだんは静かな山間の集落に佇む中島温泉が息を吹き返し、一気に活気を帯びる瞬間だ。

中では、時間ギリギリまで掃除がされている様子。準備が整い、午後1時、いよいよ玄関の鍵が開けられると、待ってましたとばかりに、皆さん、どっと、温泉に、なだれこむ。

隅々まで丁寧に掃除し、その後、番台に座っておられるオバチャンは、オーナー夫人の中島さん。お客さんが集中する狭い脱衣場から溢れ出してしまった要領の悪い私は、浴室が落ち着くまで、しばらく中島のオバチャンとお喋りに興じていたが、温泉のことを色々教えていただけた。
県道667号線 西から東を見る 東から西を見る
「中島温泉」の大きな看板 「中島ボーリング工事所」の
看板も、掲げられている
「もう少し時間が下がると、そんなに混まないんだけどねぇ、やはり一番風呂を目指して来るお客さんが多いので、開けた直後は、混雑するんですよ。」と、中島さん。さもありなん。2階の畳敷きの休憩室も料金内で自由に使わせてもらえて、館内にいる限り、何度でも入浴可能だから、早くから来て、ゆっくり夕方まで過ごす常連さんもいらっしゃる。

温泉を始めて何年なのか尋ねてみたら、「もう20年ぐらいになりますかねぇ?」ちなみに、脱衣場に掲示してある温泉分析書の日付は、昭和61年。今、中島温泉が建っている土地は、温泉のために購入したそうだが、中島温泉のスタートは、掘っ立て小屋だったそうだ。後から、その時代から通い続けているという長い常連客のオバーチャンが、掘っ立て小屋時代は無人で、竹筒に100円入れて入浴していた思い出話をしてくださった。

温泉(掘削700m)と、地下水(掘削150m)の2本の井戸が使われている。屋外の「水汲み場」に垂れ流してあるのは地下水の方で、水温21.4℃、pH値7.9。寒い日に触れると、かなり暖かい。口に含むと、ほのかな鉱物臭があって、温泉の源泉と似たような性質にも感じられる。いつでも誰でも蛇口から自由に汲めるようにしてあることからも想像できるように、地下水は豊富だそうで、夏場は、この井戸水を利用した熱交換器が、浴室で活躍。
屋外では、地下水を汲める
(温泉ではない)
西側から見た建物
こちら側の1階が、浴室
南側の山手から見た建物
看板が無ければ、温泉ではなく、ただの民家と間違えそうだ
南側に広がる田園風景 南天の赤い実が、綺麗だった
温泉分析書に記載されている源泉湧出地は、中島温泉の住所と番地が同じなので、ボイラーが設置してある建物裏手あたりが泉源になるのかと思っていたら、中島のオバチャンに確認してみたところ、違うと言われた。

泉源は、同じ集落内だが、少し離れた場所にあって、そこからパイプで引っ張られているそうだ。温泉の井戸の掘削深度は700m。そこから自噴する温泉は、何でも、ものすごい圧で、噴き出しているらしい。

西谷温泉が近いから、温泉も同じではないかと言われる方もいるんですけど、西谷とウチでは、また違うんですよ。」

ついでながら、近くには、廃業した「西谷温泉荘」の建屋だけが、今も、そのまま放置されている。オバチャンの話によると、ここは、源泉が枯れてしまったそうな。そういう、のっぴきならない事情だったとは、今回、初めて知った。
建物の裏手に回ると… カランで使われる源泉が
こちらのボイラーで加温される
地下水が流れる付近は暖かい
のだろう、早くもタンポポの花が
【参考】 町営 西谷温泉荘
建物だけが残されている
玄関には、可愛らしい正月飾りがしてあった 玄関先に出されている営業案内 平成20年5月11日より
料金値上げされている
色々お話ししてくださった中島さんに、ご無理申し上げ、記念に、一緒に写真に写っていただいた。

この日、たまたま一緒になった日出のお兄ちゃんは、別府八湯温泉道名人さん。
受付付近から、奥を見る
手前から、男湯、女湯と並ぶ
奥から、受付と玄関の方を見る 番台の中島のオバチャンと
記念撮影?!


飲用コーナー


受付の前には、飲用コーナーの流し台があって、温泉と地下水が、それぞれ飲めるようになっている。コップが置かれてあり、湯上がりに、ここで喉を潤す人の姿も多い。

なんでも温泉の源泉を飲用すると、糖尿病や通風などに、非常に効果的なのだとか。長年の常連のオッチャン(65歳とのこと)が、医者も匙を投げたような患者でも、ここの温泉によって軽快した例を、熱心に語ってくださった。
番台の前に設置してある温泉&地下水の飲用コーナー

入浴者は、ペットボトル数本程度の常識的な量であれば、飲用コーナーから源泉を汲んで持ち帰ってもいいことになっているそうだ。その常連のオッチャンは、とても親切な方で、自分たちが汲んで帰るために用意していた1.8L空ペットボトルを分けてくださり、自らの手でお湯を汲み、お土産にと、持たせてくださった。湯の香立つ、まろやかな口当たりのお湯である。

飲用コーナーの前の壁には、大きく拡大された「温泉分析書別表」が張られている。「はい、ここ、よく読んで。」と、そのオッチャンが指さす「飲用の適応症」欄には、なるほど「慢性消化器病、慢性便秘、糖尿病、通風、肝臓病」と記されている。




男 湯


2010年1月10日撮影、冬場は、49.6℃の源泉が、ダイレクトに浴槽に注がれている
この日、浴槽のお湯の温度は、44℃だった
脱衣場の様子
今回の1月の写真は、浴室に籠っている湯気でモヤけているが、夏場の写真と見比べると、湯口の位置が異なるのが、わかるはず。

中島温泉の「熱交換器」は、いたってシンプル。
2006年8月6日撮影、夏場は、壁面の熱交換器を通して温度を下げた源泉が、浴槽に注がれる

浴槽上部の壁に、二重に重ねた塩ビパイプが走らせてあり、一方の管には泉温49.6℃の源泉を流し、もう一方の管には、21.4℃の地下水を流すことにより、源泉を冷ます仕組み。簡素にして無駄のないエコなシステムは、さすが本職の仕事と言うべきか、よく考えて工夫されている。これを見ると、素人にも、「二重管式熱交換器」の原理が、よく分かる。




女 湯


脱衣場
浴室側から入り口側を見る
脱衣場
入り口側から浴室側を見る
木製ロッカーが並ぶ 脱衣場に張られた注意事項
一度に入浴できる定員は8名
「お願い 浴槽の湯をくみ出さないで下さい」

脱衣場には、その理由の説明が添えられた張り紙がしてある。

「浴槽の中の湯をきれいに保つためには、浴槽の淵(ふち)の四方から、湯が流れ出る状態にすることです。ですから、体を洗う時には、浴槽の湯をくまないで、洗い場の湯と水をお使いください。」早い話が、浴槽に、洗面器を入てくれるな、ということ。

浴槽の縁に腰かけたり、物を置くことが御法度である訳も、これなら合理的で、納得がゆく。この辺にも、最良の状態でお湯を提供したいというオーナーのこだわりが読み取れる。
常連さんが、「お湯は汲んだら
いけないのよ。」と教えてくれた
一番風呂ということもあるが、加えて、常連の皆さんたちの入浴マナーも見事で、浴槽の四方から満遍なくオーバーフローするお湯は、よく澄んでおり、とても綺麗だ。

無色透明で、心地よい仄かな鉱物臭のするお湯は、かなりツルツル感が強い重曹泉。分析書の数字では、メタケイ酸も148mg/kg。お湯に身を沈めると、柔らかく包み込まれるような感触の、美肌の湯。

折り紙付きの極上湯、すこぶる気持ちよい。極楽ごくらく〜。

浴槽内の湯温は、湯口側で44℃(温度計による実測)あり、やや熱めだ。中島のオバチャンによれば、この季節は、大体43℃位になるそうである。熱いお湯が苦手な人には、ちと入りづらい温度かもしれない。

「熱いと言われる方もいますが、大丈夫だから、まぁ、我慢して、入ってみてごらんなさい、と言うんですよ。」
浴室奥から入口側を見る 浴室手前から奥を見る
コンクリートのシンプルな長方形の浴槽が1つ
ただ、湯当たりしやすいので、あまり長風呂はしないように、注意された。「私でも、ちょっとお客さんと喋っていて、つかっている時間が長くなると、フラッとすることがあるんです。」と。

熱めの湯が好きな私にとっては快適な温度だが、実際、この温度で、そうそう長風呂できるものでもない。短時間でクッと暖まり、汗が出てくる。体がスッキリ軽くなってくるように思う。紅潮した肌は、しっとり潤い、湯上がり美人の一丁上がり!

浴槽の縁からは、お湯が常に満遍なくオーバーフローしている 洗い場は8か所
それぞれに、熱く沸かされた源泉と、水のカランがある
壁面に設置された熱交換器
夏場は、浴槽手前側が湯口に
冬場の湯口は、浴槽奥のこちら 夏場は、こちらのパイプから、熱交換器に地下水が流される


2階休憩室


休憩室への階段 入口付近から奥を見る 常連さんたちは、先にこちらに
荷物を置いて、浴室へ向かう
奥から入口側を見る 西側の奥にある、もう一間 休憩室の窓から西側を見る 休憩室利用の心得
こざっぱり、良い気分でお湯から上がった後、2階の休憩室にもお邪魔してみたところ、5、6名のご年配の方たちが重箱を囲み、賑やかな宴会(?)が始まっていた。

豊前からのご一行様で、掘っ立て小屋時代から通っているという、実に古い常連さん。毎週日曜日には、午後1時から5時まで中島温泉で過ごし、一日3回温泉に入って、一週間の疲れをゆっくり落とすのが、習慣なのだという。

400円の料金内で休憩室も利用できるから、ありがたいことだ。
サツマイモたっぷり手作り団子

気さくな優しい方たちで、そのうちのお一人、65歳のオッチャン(ペットボトルをくださった方)は、元々ご出身が福岡というご縁もあり、重箱の「いきなり団子」を御馳走してくださった。84歳のオバーチャンが手作りされたという蒸し団子は、サツマイモの甘みが楽しめる素朴な味わい。私は、思わず、2個ペロッ。作ったご本人に、美味しいとお礼を申し上げると、オバチャンたち、「昔は、こんなものしか、オヤツが無かったからねぇ。」と、お笑いになる。ご年齢を重ね、人生の苦楽、酸いも甘いも嚙み分けた方たちだからこそ出せる素敵な笑顔。私事ながら、昨年の12月から訃報が相次ぎ、気分が塞いでいた私は、その笑い声やご親切に、心が癒されてゆくのを感じる。ああ、温泉って、元気を分けてもらえる場だ、と、あらためて感謝する今年の初湯。

色々教えてくれたオッチャンが、「この温泉には、良い人たちが集まってくる。」と言われた言葉が、印象深く耳に残った。常連の皆さんは、ちょうど田舎に里帰りするような感覚で、中島温泉に通われるのかもしれない。

すっかりご機嫌になった私、帰りに、ニコニコ顔で、「ここは楽しい温泉ですね!」と、番台に座っている中島のオバチャンに、思わず喋りかけた。温泉経営には、ご苦労も多いそうだ。重労働の掃除も、大きな負担という。実際、儲けようと考えたら、とても、やってられない世界だと思う。「でも、来てくれるお客さんがいるからね。」と、中島さん。体も心も、ほっこり温まる、この飾らぬ素晴らしい温泉が、どうか永く続くことを、切に願いたい。疲れた時に、私も、また、ここに「帰って」こられるように…。



お向かいの神社(大山積大明神?)


笹で隠れて読みづらいが
「大山積大明神」か?
中島温泉のお向かい、県道を挟んだ北側にある神社。常連さんによると、お神楽もあるとか。

神社の名前が、よくワカランが、温泉が開くまでの待ち時間に、お参りしてきた。
拝殿と本殿 南側に、中島温泉が見えている



温泉めぐりモノグサ写真日記@九州  大分県  2010年01月一覧


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