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適応症と禁忌症

日本では、古くから「湯治」というかたちで、温泉が病気やケガを治すために利用されてきた。しかし、どんな症状にも温泉が効くということはない。「湯治」は、医学的な見地では「温泉療養」と呼ばれる。温泉療養には、実施してもよい病気や症状と、実施してはいけない病気や症状がある。

これらの決定を行う基準は、温泉行政の所轄官庁であった環境庁(当時)の通知「環境庁自然保護局長通知(昭和57年環自施第227号)」に示されている。その中で「温泉の医治効用は、その温度その他の物理的因子、化学的成分、温泉地の地勢、気候、利用者の生活状態の変化その他諸般の総合作用に対する生体反応によるもので、温泉の成分のみによって各温泉の効用を確定することは困難である。」と述べられていることには注意したい。

 適応症

温泉療養を行ってよい病気や症状のことを「適応症」という。主に慢性の病気や症状が該当する。

温泉の一般的適応症

神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進

泉質から見る適応症  ○は浴用 ☆は飲用を示す

泉    質










尿












便















単純温泉 一般的適応症に準ずる
塩化物泉                       

  

  

炭酸水素塩泉      

                       

硫酸塩泉                     

二酸化炭素泉

                               

含鉄泉                                            
含銅・鉄泉                                             
酸性泉                                             
硫黄泉 ○▲ ○▲ ○☆                             
放射能泉   

   ○☆    ○☆ ○☆   

     

     

     

▲は硫化水素型

 

 禁忌症

温泉療養をしてはいけない病気や症状のことを「禁忌症」という。これは、急性炎症性疾患や急性感染症などが対象になっており、たとえば、へんとう腺炎、肺炎、流感、赤痢、チフスなどが該当する。抗生物質を使用する病気や症状は殆ど温泉療養に適さないと考えられる。このほかに、癌や肉腫、重症の糖尿病、白血病、妊娠初期と末期なども禁忌症に当たる。

温泉の一般的禁忌症

急性疾患、(とくに熱のある場合)、活動性の結核、悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性の疾患、高度の貧血、その他一般に病勢進行中の疾患、妊娠中(とくに初期と末期)

温泉の泉質別禁忌症

泉 質 浴 用 飲 用
・塩化物泉
・炭酸水素塩泉
一般的禁忌症に準ずる 腎臓病、高血圧症、一般むくみがあるとき、
甲状機能亢進症のときヨウ素を含有する温泉は禁忌
・硫酸塩泉 一般的禁忌症に準ずる 下痢のとき
・二酸化炭素泉 一般的禁忌症に準ずる 下痢のとき
・硫黄泉

・酸性泉

皮膚、粘膜の過敏な人
とくに光線過敏症の人(硫化水素型)

高齢者の皮膚乾燥症

下痢のとき

 

 泉質別の特徴

※資料 : 北海道温泉協会「北の温泉」

掲示用新泉質名 泉 質 の 特 徴

単純温泉

含まれる成分が薄い温泉で、身体への刺激も少なく万人向きの温泉で名湯といわれる温泉が多い。神経痛、リウマチ、腰痛、高血圧、動脈硬化症、病後の回復、脳卒中の回復期の保養によいとされている。

二酸化炭素泉

炭酸ガスが溶け込んでいる温泉で、肌に気泡が付くことから、昔から「ラムネの湯」、「ビールの湯」、「泡の湯」などと呼ばれている。毛細血管を広げて血液の循環をよくし、血圧を下げる効果があるので「心臓の湯」と言われ、心臓の負担を少なくするため、高血圧症によく、飲用では胃腸病や便秘に効果があるとされている。

炭酸水素塩泉

無色透明の湯

  重炭酸土類泉

鎮静作用のある土類イオンを含んだ無色透明の湯。アレルギー性疾患、リウマチ性疾患、慢性皮膚病、蕁麻疹などによく、飲用で糖尿病、通風、慢性胃腸病などに効果があるとされている。

  重 曹 泉

重炭酸ナトリウムを主成分とするアルカリ性の温泉で、皮膚に対する作用が高いので「美人の湯」とよばれている。皮膚病、やけど、切り傷にもよく、飲用では胃腸病関係、便秘に効果があるとされている。

塩化物泉

なめると塩辛く、入浴後は、塩分が皮膚について汗の蒸発を防ぐため、保温効果にすぐれ、よく温まることから「熱の湯」とよばれている。神経痛、リウマチ、婦人病、冷え症、打ち身によく、飲用で胃腸病、肝臓病、便秘に効果があるとされている。

硫酸塩泉

無色または黄色の湯

 マグネシウム硫酸塩泉
 (正苦味泉)

硫酸マグネシウムが主成分で「脳卒中の湯」といわれる名湯。動脈硬化の予防によく、飲用で便秘、胆のう病に効果があるとされている。

 カルシウム硫酸塩泉
 (石膏泉)

カルシウムを含み石膏が溶けている温泉で、「傷の湯」、「中風の湯」として知られる。鎮静・収れん作用が高いので切り傷、リウマチ、高血圧症、打ち身、ねんざ、やけど、痔、皮膚病によく、飲用で便秘、胃腸病などに効果があるとされている。

 ナトリウム硫酸塩泉
 (亡硝泉)

傷の湯」、「中風の湯」として知られる。飲用すると動脈硬化症、高血圧症、肝臓病、便秘などに効果があるとされている。

鉄   泉 

炭酸鉄泉、緑礬泉に分けられる。湧出時は透明だが、空気にふれ酸化して褐色になり、透明感が無くなる。鉄を含み貧血症に効果があるとされ、リウマチ性疾患、子宮発育不全、更年期障害、慢性湿疹などに効果があるとされている。

含アルミニウム泉

目の湯」といわれ、結膜炎に効果大。皮膚や粘膜を引き締める作用があるため痔疾、火傷、切り傷、水虫や蕁麻疹などの皮膚病に効果があるとされている。

含銅−鉄泉

湧出口では無色、空気に触れ酸化すると茶褐色の沈殿物ができる。よく温まり造血作用があるとされている。

硫 黄 泉

湯が黄白色に濁っていて、硫化水素特有の臭いがする。よく温まり、末梢血管を拡張させる作用があり「心臓の湯」とよばれている。動脈硬化、高血圧、糖尿病によく、また、皮膚を柔らかくするので慢性湿疹や皮膚角化症などに効果があるとされている。ただし、刺激性が強いので、湯あたりや皮膚の炎症を起こしやすい。

酸 性 泉

酸味と臭いが強く泉温が高いのが特徴。殺菌力が強く、成分も濃いので皮膚がただれることもあり、湯治では単純温泉、石膏泉などの湯と合わせ「仕上げの湯」・「直しの湯」といって利用されている。水虫や湿疹、疥癬、などに効果があるとされてている。「湯ただれ」に要注意。

放射線泉

「ラジウム温泉」、「ラドン温泉」といわれている。浴用よりも吸入する方が効果が大きい温泉で、神経痛や自律神経失調症などに効果があるとされている。「湯あたり」に要注意。